ウインド・リバー
主演 ジェレミー・レナー
公開年 2017年
監督 テイラー・シェリダン
おススメ ★★★★☆
あらすじ
アメリカ、ワイオミング州。先住民族が住む深い雪に囲まれたウインド・リバーで、地元のベテランハンターであるコリー・ランバート(ジェレミー・レナー)が女性の遺体を発見する。FBIの新人捜査官ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)が派遣され、1人で捜査を開始するが雪山の厳しい自然環境や不安定な気候で難航する。ジェーンは、ウインド・リバー一帯に詳しいランバートの手を借りて調べを進めていく。
感想
男、ですね。自分をうまく表現できない武骨な主人公が、殺人事件に遭遇し、捜査を手伝う、という話に枝葉が広がり、きちんと収束していく。ところどころうまくいきすぎ、と思うところがあるのは仕方ないにしても、撒いたものをきちんと拾い集めてのエンディングは満足感ひとしお。
先住民問題、というのは、日本人にとって理解しにくい問題ではあると思う。アイヌ問題があるとはいえ、それがどのように現代につながっていくか、ということも学校で教わることはないし、深く学ぶこともない。そのため、アメリカの先住民、インディアンのことについてどこまでの知識があるか、ということがこの映画を見る前にあると思うが、それがなくても、先住民居住「地域」へと追いやられた人たちを卑下する差別的感情は、映画をみているとひしひしと伝わってくる。
主人公がその地域で生きていくことも、その地域の人たちに受け入れられていることも、その地域に必要とされていることも、深い描写がなくても感じ取ることができる。それだけ丁寧に映画として作られているのだと思う。これは、冒頭にある「事実に基づいて」という文句にもあるように、様々な問題に対して、正面から真摯に取り組んだ結果、この映画ができたのだろう。
殺人捜査、と言ってしまえばそれでおしまいなのだが、極寒の地で自然を相手に更に殺人犯と文化的背景との戦いを描いた作品としては、非常に良作だと思う。
先住民、とされる人たちも文化的に衰退している様を描いた場面も非常に印象的だったし、居住区「外」からの捜査官との心の壁を描いた場面も印象的だった。
この作品は、上映館が少なくて見る機会がなかったけれども、埋もれた良作をピックアップして上映する、という企画で上映されたのを見に行きました。前日まで席予約はガラガラだったのですが、当日はほぼ満員。平日なのに。それだけ見たい、と思った人が多かったのでしょう。
やっぱり残念なのは、キャッチコピー。「なぜ、この土地では少女ばかりがころされるのかー」ちょっと違うと思う。これだと連続殺人事件だし。っていうか、このコピーのせいで、劇中のあれとあれの事件はつながってるの?と疑問。そこらへん描かれてないけど、関係ないと思うんだけどな。
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