迷走オヤジの独り言

迷走中のおっさんの独り言です

空飛ぶタイヤ

 

soratobu-movie.jp

空飛ぶタイヤ

主演    長瀬智也
公開年   2018年
監督    本木克英
おススメ ★★★★☆

 

あらすじ

トラックの脱輪事故で主婦が亡くなり、整備不良を疑われた運送会社社長・赤松徳郎(長瀬智也)は、警察の執拗(しつよう)な追及を受ける。赤松はトラックの欠陥に気付き製造元のホープ自動車に再調査を要求するが、調査は進展せず自ら調査を開始。やがて大企業のリコール隠しを知った赤松は、会社や家族を守るため、そして自身の正義のため、巨大企業に立ち向かっていく。空飛ぶタイヤ (2018) - シネマトゥデイ

 

感想

理不尽。とにかく理不尽。その理不尽に直面した時、人はどう行動するのか。心が折れて屈服するのか。甘言に誘われて自分を曲げるのか。最後まで自分を貫きとおすのか。

日本社会、というのは「長いものには巻かれろ」「大きいものの庇護をうけよ」といった風潮があると思う。大なり小なり、組織に個人は勝てないし、大企業に中小企業は勝てない。それは、資本体力の差もあるし、市場の原理、というのもある。所詮、小さきものは勝てない。窮鼠猫を噛む、というのは本当にごく一部の話だと思う。

 

エンターテイメントとしてこの作品をみるならば、おススメできる。逆転ホームラン、の気持ちよさとあと味の良さが非常にいい。主演が長瀬智也だったことも、非常にぐいぐい来るものがある。

 

2時間ちょいという上映時間もちょうどよく、テンポよく進んでいく。序盤からの弱者は強者に勝てない、という無力感と理不尽さがまどろっこしく、いやな感じで描かれているのもいい。

 

長瀬智也の行動に周囲がうまく呼応して、ホープ自動車の内部にも良心は残っていた、というのは少々出来過ぎ感はあり、うまくいきすぎたな、とも思える。

しかし、あきらめなければ、という希望感と最後の達成感は見ごたえがあり、エンディングのサザンもそれを増幅するかのように満足度を増してくれる。

 

映画はこれでいい、と思う。理不尽すぎてあと味が悪いものを、金を払ってまで見るのはどうかとも思うし。

ただ、実際の三菱自動車の事故はどうだったのか。現実はそうはあまくなかった。現実と映画の差はあるだろうが、結局運送会社は破綻し、三菱自動車は生き残っている。こまかなところはわからないが、それが現実というものだったのだろう。雪印食品の産地偽装問題の西宮冷蔵の結末もあるし、いまだに偽装問題やユーザーを巻き込んだメーカーの隠蔽・偽装問題も多くある。現実とははかなくも厳しいものであり、理不尽なものなのだろう。