新しい風を吹き込む、ということ
アドバイザーのような立場で、いくつかの事業所を回らせていただいている。
これがなかなか手強い。
どの事業所も、今までアドバイザーみたいなものを取り入れていなかったので、当然私みたいな存在は異分子なわけである。
困り事に対して相談を受けたり、クレーム対応に同席したり、いわゆる何でも屋なわけだが、やはり多いのはコンプライアンスを理解していない事が多い相談。
その事に対して相談を受けて、是正のアドバイスをすると、まず100%返ってくる言葉が、
「今までそれでやってきましたから」
「今まで大丈夫だったので」
本当、この言葉を言われたら
「じゃあなんで聞いたの?」となる。
問題意識はあるけれど、解決しようとしない姿勢では何も変わらない。
また、事業所に新しく専門職、例えば心理師や看護師など、今までいなかった職域の人を配置すると、必ず起こるのが
「専門職の補助要員化」
新たな立場の専門職について、組織が勝手に配置したから、現場は運用について深く考えていない。「何をしてもらったらいいかわからない」という状態がおこる。その結果、新しい専門職が、いままでの職種の補助要員でしかなかったり、配置したはいいが専門性ある仕事をしていない、という状態になる。
また、これらの新規に配置した専門職が、組織の問題点について発言すると、当然今までになかった視点からの発言であるから、
「今までそれでやってきましたから」
となってしまう。
これはその資格者を配置した(押しつけた)運営側にも問題があるが、現場の管理者もその専門職をどのように現場で活かすのか、という分析ができていない。
これらのことは、現場の体制を維持しようとする保守的な側面からすると、至極当然な意識の働きなわけで、正常な組織反応である。
しかしながら、新たな視点での問題提起、アドバイスを受け入れられないと、そこは組織の視点と活動が停滞し澱んでいくばかりである。
新しい風を吹かすときに、窓を閉めて対応する。少しでも換気してくれれば、と思う。
で、昨日その事業所の監査に立ち会ったが、指導項目を聞いていると、「今までそれでやってきました」となっていることばかりだなぁ、と痛感。