迷走オヤジ、オバケカウンセリング その1
夕方、お偉いさんに呼び出された。
まあ何を小言言われるのか、あーでもない、こーでもない、と思いながら応接室の椅子に座る。
「隣の部署の建物にさ、出るのよ。というか、出たのよ」
頭の中で「?」が広がる。
「この間のタヌキの件なら保健所に依頼して終わりましたが…」
たしかに、隣の部署の裏にタヌキが巣を作っていて、ワナを仕掛けて保健所に引き渡した。
「タヌキかぁ。化けて出てきたのかなぁ」
イマイチ話がわからない。
「もしかしてオバケの話ですか?」
お偉いさんの顔がちょっと曇る。
「そうなんよ。どうにかならない?女子職員も怖がって仕事にならんのよ」
さて困った。オカルトとスピリチュアルは面白いが、信じてるのはご先祖様くらいのもんで、オバケやなんだって半分ふーん、くらいのものである。心理学を学びはじめてからは、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」よろしく理屈で返しちゃうので、怖い話されても現実に戻るから面白くないって怒られてるし。
オバケが出ようが出まいが、仕事はあるのでそれをこなさないとダメなのだが、恐怖が優って仕事に影響が出てるのはそれはそれで問題。
ということで、「いつどこで何がどうしてどうなったか、どうやって」と恐怖の原因を調べることになりました。まぁ、とりあえずなんとかやってみましょうかね。