迷走オヤジの独り言

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検察側の罪人(映画版)


kensatsugawa-movie.jp

主演   木村拓哉二宮和也
公開年   2018年
監督    原田眞人
おススメ ★★★★☆

 

あらすじ

東京地方検察庁刑事部に配属された検事の沖野啓一郎(二宮和也)は、有能で人望もある憧れのエリート検事・最上毅(木村拓哉)と同じ部署になり、懸命に仕事に取り組んでいた。あるとき、二人が担当することになった殺人事件の容疑者に、すでに時効が成立した事件の重要参考人・松倉重生が浮上する。その被害者を知っていた最上は、松倉に法の裁きを受けさせるべく執拗(しつよう)に追及するが、沖野は最上のやり方に疑問を抱き始め......。検察側の罪人 (2018) - シネマトゥデイ

 

感想

原作を直前に読んでいたので、あの場面やこの場面はどう表現するのだろう?、といろいろ考えていました。しかーし。原作での「それはないんじゃない?」と疑問を持ったシーンはカットされ、しかも納得できる形に脚本化されてました。

 

だいたいのあらすじは似てはいるものの、映画化されたことにより別の作品にしあがった、というような感じでしょうか。最上検事の行動についても、諏訪部の行動についても、破綻すれすれのところを攻めてはいますが、原作と比べると映画のほうが流れに任せて突っ切る分、「そういうのもありか」と思ってしまえるレベル。

 

沖野検事については、松倉のクレイジーに対してうまい具合に押していけているのに、あっさり身を引くところなんかはやっぱりそこは原作通りなのか、とちょっと残念。ただ、松倉に対する二宮和也のベビーフェイスからのあの演技は、本当に素晴らしく、思い出しても惚れ惚れします。あの聴取の場面を見るだけでも、この映画を見る価値はあると思います。

 

ですが、冒頭から重要な人物がばんばん出てきますが、誰一人として「名前」が出てきません。主人公の最上、沖野ですらでてこない。だから、前川や丹野、が登場してもしばらくしないとこの人が前川だったのか、丹野だったのか、と気付くまで時間がかかりました。

まだ、原作を読んでいるだけ重要人物の名前は覚えていましたが、未読の初見ではこれは辛い。せめてテロップは入れるべきでしょう。

 

話の展開としては、全体の区分をパート形式で区切って場面転換しており、ここで話が進むのか、と観客の頭の整理をさせる良い転換場面と感じました。

 

肝心の結末は、原作とはまったく違う話に。この部分はどちらかといえば、僕は映画版の結末のほうが好みです。ただ、好みなだけであって、映画版の結末もご都合主義なのはいなめないけれど。

 

あくまで原作と比べてしまいますが、映画版も不条理にまみれている現実をつきつけてくるので、見終わった後にモヤモヤ感は強いし、心苦しいのが残る。

 

何が正義で何が悪かわからないけど、現実もそんな感じ。ぬるい正義はただの自己満足にしかならないことのほうが多い、ということを思い出しました。