迷走オヤジの独り言

迷走中のおっさんの独り言です

城崎へかえる

f:id:Lucky_7_stars:20180416153814j:image

作品:城崎へかえる おススメ☆彡

著者:湊かなえ

出版社:本と温泉

本と温泉 Books and Onsen

 

 

ぶらりと城崎温泉を旅する途中に出会った本。

城崎温泉でしか買えない本、ということで、どんなものか興味がわき手にとった。

 

価格は1200円。この値段が高いのか安いのか、という不躾な疑問に答えるならば、1話しか収録されていないこの内容では高いのだろう。地域限定でしか買えない、というプレミア感がのればこの価格でもいいのだろうが、長編小説の文庫本2冊の価格は高いと感じるのか。

 

内容は、限定本、というところで伏せておくとして、この本をどのように扱ったのか、というところを話したい。

 

頁数としては、風呂上がりの食事前までの間、とか、七湯巡りの間の休憩時、くらいで読めてしまう内容である。短い。実際このような感じで読み切ってしまった。特になんともなく旅行記だな、という感じで。

 

それでは、この本は城崎土産として誰かに渡すものだろうか。それも違うと思う。そうしてしまうと、ただの限定本のプレゼント、にしかなりえないのだろう。

 

この本を読むためには、いくつかの条件があると思う。

 

ひとつは、必ず城崎温泉へ旅行すること。

ひとつは、城崎温泉カニを食べること。

ひとつは、七湯巡りで一の湯に入ること。

ひとつは、旅を終えてこの本を読むこと。

 

旅館で読んだときは、ふーん、という感じでしか読まなかったが、帰宅後に読んだ時には、その感覚が違ったものであった。

 

自分の記憶をもとに映像化され、主人公の想いなどがめぐりめぐる。多少の美化やカニのうまさの誇張なども含め、ノスタルジックな城崎への想いが目に浮かぶ。

 

この、自分の体験と重ねることで、短いながらも作品の深みが増す、ということも含めて、湊かなえNPO本と温泉が想定したものが、織り込まれているのだろう。

城崎を経験しなければ、この本を経験することは半減してしまうと感じた。オークションなどで手に入れてしまうのは、この本を経験するにあたり非常にもったいない。行けば売っているのだから。読むために行こうと計画するのもありかもしれない。

 

本は、読んだ年代と時期と場所によって感じ方が変化する、と中学の国語の先生が言っていた。まさしくこの本は、城崎を経験する前と後で感想が変わる、というものだろう。

 

もう1冊のタオル本については、また機会があれば。